PINKFOX 強制収容21

来た時と同じだった。
エメラルドグリーンに輝く海に白い砂浜、そして照りつける太陽・・・
右手で懐かしむように日差しをさえぎりながら美智子はヘリコプターを降りる。
軍隊は目立つ。
すぐにワイワイと地元の漁師たちが集まり、遠巻きに笑顔で感慨にふける彼女を温かく見つめていた。
「あれ・・・あの子だよ。帰ってきたんだねー」
「へへっ(喜)!」
「おかえりーっ!!」
これには司令官のコノエも「やれやれ」といった顔つきで頭をかくしかない。
女性にあまり興味のない堅物の自分でさえこのパンティー1枚の裸体美人のはかなげな魅力にはグっとくる
ものがあるのだから。

「全体っ、止まれっ!!」
「はいっ!!!」

百人近くもの護衛たちを横参列にキチっとコノエは並ばせると華奢な美智子の両肩をさわった。
「・・・では、いきましょうかPINKFOX氏。」
「はい・・」
うながされ、彼女は軍隊の中を歩いたがキョロキョロと落ち着かない。
まるで迷子の子猫を捜すようにチョコチョコと黒目がちな瞳を動かしていたが、そうなのだ、リョウタたち囚人
たちがどうなっているのか・・・
本当に新体制のまませめて、せめて生きていればそれでいいのだ。
目で見て確認できさえすればそれでいい。
勿論会えればこんな嬉しい事はないのだが・・・
だがそれでも彼女はきっと本当は落ち着かないだろう。
それは・・・必死にこらえてはいるが、いるが美智子が一番気がかりなのはそう、エリート女医がもたらす
自分とヤスシとの間の生命の誕生・・・
ただそれだけなのだ。
心の中の男性を手玉に取ってきた彼女は非常にキレる女性であっても中身はまだ子供だったのかも
しれない。
が、ヤスシと初めて正直に向き合い体を交わし女になった。
1人の女性として生まれてくるかもしれぬ゛我が子゛を思う母親になった今、初めて゛死゛への恐怖が
押しよせた。
ううん、殺されるのは・・・怖くない。
ただ、ただ、母親のいなくなった私の子供は・・子供は・・死ぬ事によって案じる自らの可愛い子供に対しての
純真な愛情が今の彼女の全てであった。
リョウタたちはもう美智子にとって・・いや今でも大事な連中に代わりはないのだが一番大事ななにかでは
なくなっていた。
゛家族゛ではあるが、それ以上ではない。
しょうがない事ではあるのだが・・・
彼らが無事ならば自らの子供も・・・しってかしらないでか落ち着かない彼女の前をコノエは普通に軍隊歩き
していた。
積荷をつぶし全裸でケツを叩かれた防波堤をすぎ5分程歩くとそこには以前あった粗末な木造の囚人小屋は
なく近代的な白塗りの建物がそびえたち、よく見ると沢山の男たちが休み時間なのであろう、野球に
興じているではないか!

「おうぉーい、次はフォークだぜ」
「お前のは天ぷらフォークだよっ!!」
「龍雄ーっ!打てよーっ!」

釘付けになる美智子。
久しぶりに会う友人に会わんとするドキドキ感、胸の鼓動・・見慣れた顔もある。
聞きなれた声もする。
間違いない、みんな、みんな元気に・・・

「生きてるのね・・・」

いつの間にかボーゼンと立ちすくみ涙をこぼす美智子。
護衛の1人が立ち止まった彼女にケツを叩こうとするがコノエが静止する。
そしてついに彼らの数人が美智子に気づきあのやかましかった原っぱが一斉にシーンとなる。
小さな純一の向こうにいるのは・・・あのリョウタだ。
若い連中だけではない。のんびり観戦していたおじさん囚人たちもまるで宇宙人に遭遇したかのような
反応だ。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・みちこ?」
「みちこじゃんっ!!アイツ、アイツ、生きてるよーっ!!!」

世の中、どうっしても止められないものもあるだろう。
まるで猛牛の如く囚人たちはゴゴゴゴゴと走り

「みちこぉぉーーーっ(歓喜)!!!」

と華奢な彼女を集団で押し倒した。
半端な数ではない。
30人近い男たちの群れ。
まるで犬や猫がエサにとびつくように品はないが無邪気で暖かく次第に美智子も笑い出した。
さすがに犯されはしなかったがおそらく彼女のア○コはいい具合にグチョグチョに・・・違いない(苦笑)。
「元気そうだな・・・ヘヘ」
リョウタたちも嬉しそう。
見慣れたおじさんたちもいる。皆、以前よりもいい待遇なのだろう。
血色の悪い男もいない。たっぷり美味しいごはんを食べさせてもらっているのだろう。
ちょっとした雑談後、美智子はコノエをチラ・・と見、リョウタになんと履いているパンティーを脱いで
渡した。
「なっ!なんだ・・ょ・・てか美智子はだかー・・・(照)」
「いいなぁ、美智子のア○コ、濡れてんじゃん」
笑いが一斉にこぼれ寂しげに微笑む美智子。
「・・・・・私、もういかないといけないの。でも私、何も持ってないし・・だからそれをみんな、私と思って・・・ね」
「・・・・・・・・・・」
突然の事で思わずだまってしまうリョウタ。
だれかが言う。
「また帰って来いよ!みんな待ってるから」
「・・・・うん!帰ってくるよ」
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
が、リョウタは察した。
もう美智子は戻ってこないと。
場を見守り座っていたコノエが立ち上がる。
「いきましょうか、PINKFOX氏」
囚人たちは裸になった楽園の女神の後姿をただただ見つめ続け、そしてやがて号泣。
彼らが美智子に会う事はもう・・・二度となかった。


                                                            22に続く