耐えられなかった・・・

それは、海で溺れた人がワラをもつかむ、その姿勢にそっくりであった。
かろうじて黒板に両手をつけ、倒れるのは
まぬがれた千歳。
何もない岸本の横を、宙を舞うように彼女の
両手は何かを捜しもだえ、生き物の゛助かりたい゛、本能ただ一つだけで背後の黒板に
突っ伏したといえる。
それほど岸本が彼女にはなった一発、ケツバットは破壊力があったのだろう。
逆にいえば千歳のお尻が肉付きがよく大きくて良かったのかもしれない。
スレンダーボディを持つ子ならばもしかしたら
尾テイ骨を破壊していたかもしれなかった。
千歳は人目以前に自分のケツを
クールダウンさせる為に顔を伏せ、体を小刻み
に震わせる子猫のようであり羞恥心どころ
ではなかった。
そうなのだ。
彼女は結局はごく普通のなんのとりえも
ない女の子なのだ。
やがて見られまいと伏せたその顔はクラス
メイトへとリスペクトされていく・・・

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