体罰学園特別編  転校生Aの悲劇・・・ 3


あれから約一週間・・・
そう、結局転校生佐藤熱美は何もせずバイオレンスなこの学園の出来事を横から見ながら平凡な日常を過ごして
しまっていた。
行動派で明るい彼女だが小栗に描いている恋愛感情が彼女を臆病にさせてしまっていたのである。
何度も何度も小栗を遠くから見つめたり職員室のドアに小走りで走りピタッと止まって動けずためらう熱美。


ドクン ドクン ドクン


胸を押さえため息をついては繰り返す。


オグリサマ・・・


それほどに好きなのだ。
小栗順が。
だがどうする事もできなかった。
成績も顔も性格も育ちも何もかもがそう、彼女は

普通な女の子

なのだから・・・

悔しい・・・

どれ1つをとっても・・そう、あの天才美少女山本香織には勝てないのだ。
唯一勝ってるといえば香織よりは友達が多い事ぐらいでしかない。
どだい無理な話だ。
あの、あの一週間前、玄関での異様な光景。


不潔よ・・・


香織の裸を凝視するいやらしい男子生徒たちにではない。
熱美は気づいたのだ。
山本香織の持つ決して普通ではないアブノーマルな素質を。
沢山の異性の前で一糸まとわぬ姿に晒され乳首を起たされク○トリスも刺激でコリコリに固くなり愛液を泣きながら
垂らしているその裏で艶黒く微笑むもう1人の彼女を。

もっと・・ああ、もっといやらしい私をもっと見て・・・んん

勝てないよ・・う

熱美は落ち込んだ。
勿論彼女、香織にそんな気はないしまだ彼女自身がもう1人の本当の自分には気づいてはいない。
だが同じ小栗を大好きなものとして熱美は動物的カンで気づいてしまったのだ。
人前で裸になり媚びを売り男を惹きよせる生まれついての淫乱な資質を。
あの時彼女は吊るされてる香織を見、悟りショックで2日間学園を休んだ。


勝てない・・


はじめてのズル休み。
かわいいハジャマ姿のまま抱き枕を抱えベットの上でしゃがんでボーッとした。
夢を見ていた。

背の高い小栗とのデート。
甘い会話。
パフェは絶対ふた口まで。
キスは3度目のデートから。
はじめての下着は清純派の白 byブラック。

思春期に見る夢物語はジャムのように甘くそして、そしてとめどなくせつない。
どノーマルな熱美の恋は終わった。
人前で裸にされ罵倒されても耐える山本香織のようにはたとえ彼を好きでもできない。
熱美は思う。

全てを見せるのはたった一人の王子様だけよ・・・

3日目の朝・・・
スズメのさえずりの中、目玉焼きをキッチンでつくる母親の前に目を腫らした学生服姿の熱美はけなげなまでに
明るく階段を下りてくる。

「ママ、おはようっ!!」
「あら、おはよう。もう大丈夫なの?」
「うん・・・あの、ママ、その、えっとぉ・・」
「ん?」
「・・心配かけてごめんね。」

玄関を開け鞄を持ち普通の子、熱美が最後に選んだのは体罰学園に通い続ける事だった。
何が起こるのかわからない。
いつまで耐えられるかも分からない。
ただ、ただせめて大好きな小栗順を卒業までずっと近くで見つめていたい・・・
熱美がくだした決断は等身大の、普通の女の子らしいささやかなものだった。
ざわめきの中、門をくぐれば修羅場はすぐにある。
登校してくる生徒たちにむかって素っ裸にされ直立させられている山本香織が外村に怒鳴られせいいっぱいの
あいさつをしている。


「おっ、おはようございますっ!!私は劣等生の山本香織ですっ(泣)!!」


「皆さんの心に響きませんっ!!目をつむりなさい!!」



パチィィーーーンッ!!!



沢山の生徒たちが登校する中、あの山本香織は未だ学園に逆らいどんな体罰も耐えていた。
にやつくサド教師外村は香織の小さな両頬を思い切りビンタし薄い彼女の綺麗な裸体が屈辱にまみれ学園中の生徒たちに忘れられない記憶となっていく。


山本香織・・・


熱美はもう、驚かない。
彼女には彼女の道が、そして自分には自分の道がある。勿論愛の形も・・・
それに気づいた熱美にもう迷いはなかった。
殴られた香織の艶っぽい汗まみれの肢体をチラ・・と見ながら何事もなかったかのように校舎の中へと消えて
いった。
そしてクラスでしゃべり相手もでき普通に染まっていく彼女はもう転校生Aではなかった。

「熱美ぃーっ!」

廊下を走ってくる友達。

「ユッコ。いこ・・・」

仲良くなったクラスメイトと楽しくしゃべりながら教室にむかう熱美は
この異常な学園の中、みんなの輪に入り憧れとして青春の1ページとして小栗順を見ていく道を選んだ。
これが、これこそが普通の生徒、佐藤熱美の人生なのだろう。
活気づく教室とクラスメイトたち。


昨日、ゲーセンでさぁー

やーん、三鷹のこだわりスィーツの桃マカロン食べたいな

A組のあのショートボブの子、確か河合とかいうの・・可愛くね?

宿題2時間かかったよ・・・

ワイワイガヤガヤ



これで良かったのかも・・・
熱美は皆と交わりながらそう思いはじめていた。
しかし体罰学園至上はじまって以来の佐藤熱美の心を恐怖と惨劇に包む出来事が今正に始まろうとしていた。


                                 

                                                             
体罰学園特別編・転校生Aの悲劇4に続く