体罰学園特別編 転校生Aの悲劇・・・ 5
ピィィィーーッ!!
「よぉーし、みんな自由時間だ!!」
「やったぁーっ♪」
「きゃははっ、冷たぁーいっ(喜)!!」
「25m競争しようぜ。昼飯のチョコパン賭けてさ、な、な」
初夏、学園のプールサイドで熱美たちは初めての体育授業を楽しんでいた。
消毒水の匂いと白く塗られたプールサイドの床、緑の金網の外には広いグランドが広がっていて気持ちいい。
照りつける太陽の下、普通の子だがスタイルはよく、特に胸の大きい熱美はピッチピチのスクール水着のお尻の
お肉を指で戻しつつ仲のいい子たちとキャピキャピはしゃいでいたがその度に揺れる胸は彼女にとってコンプレックスでしかない。
いやだな・・・
男子生徒の視線が気になる。
しかしその先にある先生、小栗の事はもっと気になっていてしょうがない。
オグリサマ・・・
傷だらけの身体を晒さず上下共のジャージで授業する小栗にめざとい女生徒は残念がった。
「やだー、先生泳ごうよぉーっもうつまんなぁーい!」
「風邪・・ですか?」
「あ、ああ・・・夏風邪だよ。ごめんな」
嘘だ。
どうやら生徒たちの面前では裸にされずあくまで職員たちの間だけリンチに似た暴力を受けているらしいが
熱美は心配でしょうがなかった。
なんせ外村も大ゴボウも容赦がない。
人のプライバシーも体も学園の権威1つで無慈悲に壊す輩に対し意思を曲げない芯の強さが小栗に例えあったと
してもその端正な綺麗な顔が、均整の取れた体が理不尽にいたぶられるサマを彼女は見てしまっているのだ。
辛かった。
胸がはちきれそうに痛かった。
親が子を守るように熱美もまた、好きな人には笑顔でいてほしい・・・そんな思いがある。
だが女として彼女ははっきりさせたい事ができたのも事実なのだ。
それは小栗と山本香織との関係である。
勿論2人の関係に肉体関係も恋愛も実はない。
山本香織が一方的にホレているのはあっても小栗にはその気はない。
だがティーンエイジャーとして初めて本気で人を好きになった彼女は明らかに疑い、妬み、迷った。
事実そうだろう。
学園の体罰をなくし平穏な学園に戻す為、新人教師小栗順は奮起し、また裏で「ゆりかご」という暴力反対運動の
文集を出していた山本香織もそれに同調したは聞こえはいいがだからといって人前で裸にされ犬猫並みの恥辱を
受けまくり醜態を晒しまくりながら
体罰反対!!!
などとは常人では想像しても絶対出来ない。
男女の関係を理由に彼女が疑うのは当然であろうが・・・
オグリサマ・・・
左手を右腕に持っていき物憂げに彼を眺める佐藤熱美。
だが彼女は気づいてなかったが少しだけ、少しだけ彼を遠く感じ始めていた。
それは若い熱美には初めての、大人には通り過ぎた懐かしい思い出のようなものなのだが・・・
香織は相変わらずひどい仕打ちを受けているという。
この授業の一時間前、彼女たちのクラスもプールでいつも体育の時間に休んでいた香織は水着を持ってこなかったため罰として裸でプールサイドに立たされたという。
それも小栗が助けられないように先生を変えて授業したのだ。
そんなに・・・
オグリサマの事が好きなの?
熱美は下を向き水面を眺める。
彼女だって天才少女なのだから転向しようと思えばどこへだっていけるはず・・・
汚らしい子・・・!
熱美は彼の、小栗順のはじめてみた男性の精器を思い出し顔を赤くしながら無性に腹が立った。
パチン!
「ひゃ!?・・・・な・・」
いきなりだった。
熱美はケツをおさえ驚き後ろを振り向くとやんちゃな男子生徒、加藤ケイタがバツの悪そうな顔でそこにいた。
「あっ、悪い佐藤!バレーボールと間違えたよヘヘ、デカいケツなんで間違え・・・」
「・・・う・・・ぐ・ぅぅ」
「お・・おいおい・・ちょ、まいったなぁ・・・」
なんと熱美はショックで顔を両手でおおい泣きながらその場にしゃがんでしまったのだ。
「ああーーっ!加藤、佐藤ちゃん泣かしたなぁーっ!!謝りなさいよぉーっ」
「超サ・イ・テ・イ!!」
加藤は明るい熱美だから笑って許してくれると思ったのであろう。
だが彼女は経験的にはオクテでしかも愛するオグリサマの前で恥をかかされたのもあるのだろう。
「うっうっ、えぐっ・・・・えっ、えっ・・・」
熱美は小学生のように泣きじゃくった。
だがこれが良かったのか皆に混じって小栗も来てくれたのだ。
やだ・・オグリサマ、ゲット♪
熱美の血圧上がりっぱなしである。
「ご・・・ごめんな」
「ごめんじゃねえって!!佐藤ちゃん泣きやまないじゃん」
「大丈夫?ひどいよね加藤ひどいよね」
見かねた小栗は佐藤を見つめ
「・・じゃあ、佐藤は先生と一緒に休むか?保健室へいこうか・・」
なっ、なんだとおぉぉーーーーーっ (゚∀゚) ! !!
熱美の耳からポーーッ!!と湯気が上気し祭りがはじまった!!!
オグリサマと2人!?
マ、マ、マジッすかぁ!?
オグリサマと2人!?
何これもしかして運命!?
オグリサマと2人!?
優しく・・・してね・・きゃっ(≧∇≦)♪(LOVE)!!
手はふるえ体は真っ赤に染まり言われるままに熱美はゆっくりと起き、小栗に連れられて保健室へと向かって
いった。
体罰学園特別編・転校生Aの悲劇6に続く