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体罰学園特別編  転校生Aの悲劇・・・ 9


「ねえねえ・・・いこ」
「でもいいの?佐藤ちゃんもさぁ」
「いいのよ!なんかあの子最近感じ悪いしぃっ!!」


転校生、佐藤熱美はやがて一部の女子からウザがられるようになっていた。
もう数日で夏休み。
蝉の鳴き声と新緑と青空を教室の廊下側から外を見た熱美。
以前なら・・前の学校では友達も沢山いて普通に笑ってた彼女も今は遠目から見ても何か影が匂う・・そんな子に
なっていた。

それは小栗へのオ○ニーを覚え吊るされた香織の背徳裸画像見たいになりたいと意思を持ったからであろう。
妖しい鼓動・・・


ドクン ドクン ドクン


淡い影を引きずらせ熱美は廊下を歩き、消えた。
格好いい、とも考えていた。
やばんな不良のようにパンクロッカーのようだと自分にいい聞かせた。
教室に1人でいる時、しゃべり相手がいなくともいつしか彼女にはそれが

格好いい

という強い呪文のように思えたのだ。

私は・・この子達とは違うのよ・・きっと、きっと最後にはオグリサマも自分のもの・・・ふふふ・・・

明るくしゃべり声のはずむ教室でそこだけが異質だった。
だが、彼女は知らない。
その熱美を誰よりも心配している人がいる事を。
この場合はケイ太だった。
男友達と笑いながらもその目はキョロキョロと熱美から離れない。
そう。彼がプールでさわった熱美のお尻はイタズラではなく本当は彼女が好きになり、気を引きたいからやってしまった事なのだ。

佐藤・・・

だが、今の彼女には何をいっても無駄であろうが・・
すさんでいく熱美はやがて家にこもり、考えこむ事が多くなった。
妄想が現実に変わる手前まで普通の子、熱美は思いつめ、ついに一大決心をしてしまう。

教室で裸になってオグリサマを呼び出そう・・・

そうすればオグリサマは熱美の虜、香織なんか目じゃないわ、ふふふ・・・

机の前で鏡を前に微笑む。
が・・ふとその横にある、まだ彼女が元気いっぱいだった頃、仲良しだった子と撮った写真が・・・

あ・・・

それは海であり水着であり夏休みであり。

海、いきたい・・なぁ

は・・とワレに変える熱美はだめよ、だめよと自分にいい聞かせ裸実行の日を密かに決める。
小栗は体調を崩ししばらく休んでいたが復帰する日を選びだれもいなくなった放課後にチャレンジする。

いつもと変わらない朝、最近はお母さんへのあいさつもしなくなった熱美にとって彼の復帰だけが心の支えで
あった。
家庭でも学校でも堕ちる所まで堕ちた彼女にとって隠微に堕ちた淫らな裸体を香織のように小栗に捧げたい・・・
そこから、そこから彼女の裏ストーリーは黒いスタートを切る予定だった。
教室でいつもより更に緊張している熱美をケイ太はみのがさなかった。
震える手。
吹き出る汗。
授業中、教師が黒板にひくチョークのカリ、カリという音さえ過敏に反応し警戒を放った。

「・・・・佐藤、具合でも悪いのか?気分が悪いなら保健室へいけよ」
「・・い、いえ・・・大丈夫・・です・・・」


しゃべるので精一杯だった。
無理もない。
この数時間後には彼女は裸で教室にいるのだから。
クラスメイトの中傷でさえ可愛いと思えてしまう程やばい行為を彼女はやろうとしているのだから・・・

な、何をためらっているの熱美・・・こ、こんなの楽勝よ・・・だってあんなにあの子が吊るされてるのにか、感じたんだもの・・は、はだか・・ぐ・らい・・・・・・・


キンコーンカンコーン・・・


授業が終わり彼女は席を立つ。
いよいよ小栗を呼び出し裸になる時が来たのだ。
緊張でふらつく足、顔をおさえる熱美。
これでいいんだ。
向こうの世界にいけば小栗は、小栗は・・・・・・・・・・・・・・本当は・・・分かっていた。
それは「逃げ」である事を。
裸になったって彼が振り向いてくれないのも分かっていたし香織だって好き好んで裸体を晒してラリっているんじゃない。
どこかに逃げたかった。
どうしても手にいれたいものがかなわないなら・・・ヤケになりたかったのだ。
所詮彼女は普通の子で想像を現実になど変えられないのだ。
だがもう遅いのだ。
それしかなかったから・・・なかったから彼女はそこに逃げたのだから・・・
入り口のドアは遠かったし女子はヒソヒソと悪口をいっている。ぼやける黒い影。
だが、歩くしか、歩くしか彼女には道はないのだ。

・・・・・・・・・・・・

次第に目をつむり声なく突進していく彼女に何かがぶつかった。

ドンッ!

「・・・佐藤、大丈夫か?」

それは加藤ケイ太だった。
ぶつかったからではない。
ただならない彼女をつぶさに見ていたケイ太はもうだまっていられなくなったのだ。

「・・・・・・・・・・う、うん・・・・・」

ケイ太に支えられ熱美はつい条件反射で応えてしまった。
彼女はだいぶ変わってしまったがそれでも彼だけは昔と態度を変えず、ふりはらっていこうとする彼女に言う。

「・・・いじめられたら俺にいえよな。俺がお前を守ってやるから」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

熱美は駆け出した。
何が本当で何が嘘なのか。
暖かい彼の心と自らのハレンチな罪悪感は彼女の心をグルグルと揺らしたが最後に浮かんだのはあの山本香織の
姿だった。

あの子にだけは・・・・・う・・・

山本香織という天才で稀な超美少女が裸を武器に小栗を喰らう・・・
思えば佐藤熱美のオグリサマへの偶像が巨大化したのは絶対かなわない相手へのひがみだった。
それが彼女の本来持つ普通性を殺し黒いマントを羽織る偽物へと変貌させ現実を直視せず妄想へと走らせたのだろう。
ケイ太は好きだ。
だが・・

職員室の前につく。


ドクン ドクン ドクン


黒い鼓動がまた、鳴りひびく。
はだか・・・を意識すればする程汗を掻き、手は湿り彼女の自信は恐怖に変わりやがて下を向く。
シーンとなる廊下で、職員室の前で3分程立ち尽くし彼女はついに、ついに事実を露呈し、方向を変え歩き
はじめた。


私には・・・できない・・・・・・・・・・・


コツ、コツ、コツ、と靴音は教室のある方へ消えていき、二度と現れる事はなかった。
小栗は結局この日も学校に来ず、しばらくして発表されたのは別の学園への移動であった。
言うまでもなくサラリーマン的にいえば左遷であり意図的に避けた結果、こうなったのであろう。
体罰学園にあまり衝撃はなかった。
何しろ普通の学校ではない。
左遷や退学なんて日常なのだ。
だが・・もし、ショックだという生徒がいたとしたらそれは間違いなく佐藤熱美と山本香織の2人であろう。
夏休みにもうさしかかろうとしたある日の牛後、2人は誰もいない図書館でバッタリと会う。
少しの間立ち止まり、お互いに立ち去ろうとした瞬間、熱美は香織に質問する。


「小栗先生はあなたにとってなんですか?」


香織はふと熱美を見たがまた前を向き、短くこう答えた。


「・・・・先生です。」



香織はこの後も学園を退学せず外村や大ゴボウ達に裸にされたりの体罰を受け続け卒業した。
熱美は実は彼女を理解していなかったのだろう。
世の中に好きな人に好きとも言えずただただ裸にされても尽くしきって生命をまっとうするだけの普通の人以下の
者がいる事を。

その究極が香織で、彼女は裸にされても殉教する事のみで小栗に気づかれない不器用すぎる゛愛゛をはぐくんだのだった。
熱美は気づく。
小栗も、山本香織もいない世界であのいまわしい胸の鼓動が


ドキュン ドキュン ドキュン


と変化した事を。
本当は分かっていた。
家で、海の写真を見た時に感じたわくわく感が本当の佐藤熱美なんだ、と。
普通で何も変わらない毎日が似合っている、と。
季節はもう夏。
クラスメイトは中々彼女には振り向いてくれないだろう。
だが熱美にはケイ太がいた。
やんちゃで、でも心優しい現実の男の子が。
きっと、好きなんていえないし恥ずかしいし・・・


でも・・・楽しい・・・・なんだろ・・・この感じ・・告白なんてとてもできないのに・・・わくわくしちゃう・・・うふふ♪


震える手・・・嫌われた女子達、目が合う加藤ケイ太。 

転校生、佐藤熱美は香織と別の道を歩き悲劇と苦悩ののち自分だけのささやかな幸せを掴んだ。




                


                                           終わり・・・