戦乙女 蘇芳エナ物語 3



街も大きく石積みの道が多い豊かな国、ソーセージー。
兵10万を誇るこの国の居城は城というより要塞で門には20人もの兵隊が槍を天に向け護衛していた。
貧乏なフリートとは違い兵たちの鎧も銀白色の最新素材で並みの剣では貫通しないものだった。
勿論、門に向かおうとミントをパカパカさせるエナに兵達は槍を向けたが門番程度では彼女の相手ではない。
軽く交わし一瞬で怪刀゛スオウ゛をスパッ!!!と斬りつけるとナント簡単に木製の滝のような巨大な門が
真っ二つに斬られ地響きを立てて土誇りと共に地面に落ちた。

相変わらずのエナは仏頂面だが驚いて中から外から沢山のソーセージー兵が円になり蘇芳エナを囲んだ。

いよいよだわ・・

剣聖。
幾多の戦場を駆け抜けたフリート騎士団長、蘇芳エナとしてはこんなのたいした修羅場ではない。
よくある事。
驚く数でもなかった。
が、今日の彼女は違った。
フリートの国を救う為、死ぬ為にやってきたのだ。
感慨深くない訳がない。
愛馬ミントも主人のいつもと違う気を察してかざわざわと落ち着かない・・・がエナは驚くほど落ち着いた顔をし、
恐らく最後の戦地となるこの地を見渡し少し微笑んだ。
そして大勢が囲む中、相棒の怪剣、スオウに声をかける。

「・・・・・スオウと一緒にいられて楽しかったよ・・・これが最後の剣舞だよ・・」

言うとエナは信じられない速さで円で囲む敵兵をまるでエリート主婦がネギを切るようにストトトトトッ!!と切り刻ん
死体の山を築いていく。
エナはその剣技が速いというよりもはや肉眼では見えない光レベル。
高速扇風機にも似たソレは腕が10本あると言われ幾多の伝説を戦場に残していた。
最新鋭の鉄の鎧も硬い槍も彼女と怪剣スオウにかかっては豆腐同然であったのだ。
そのエナの瞳は赤く燃え、体中から湧き出る凄まじい憤怒のオーラにソーセージーの歴戦の兵士達でさえ後ずさりし
びびって千鳥足で逃げ出す。


「ぎゃあっ!!」
「ばっ化け物だぁっおたすけぇぇっ!!」



何百人と囲んでいた兵士がチリヂリになり、ありんこのように逃げ散ると今度は馬上の騎士と騎馬戦だが

「わたしはア・・・」

スパッ!!と名乗る前に相手は真っ二つに切られている。

ソーセージー王国の巨城、近隣に名の響いたヒレニク城はたった一人の騎士の前に大混乱に陥り、やがてこの小さ
な馬上少女があのエナだと知ると更に逃げ惑った。



「おっ母ちゃああーんっ(泣)!!」
「ピィィィーッ(泣)!!!」
「聞いてないよぉ〜(byダ○ョウ倶楽部)!!」



歴戦の猛者たちでさえエナの間合いに入れず冷や汗を掻きながら馬をいなす事しかできない。
剣を持ったエナは確かに破壊神、リーサルウエポンだった。
人間の肉がきゅうりのように簡単に斬られ、まるで機関銃で撃ちまくった後のように死体の山を築いてく。
体は炎でメラメラと燃え上がり腹をすかせ血に飢えた熊や狼が裸の人間を威嚇し追い詰めている
地獄絵図・・・そんな状態だった。



こ、こんな化け物とは・・・・




将兵達に恐怖が走った。
城には約3000の兵がいるがマジな話、全滅もありうる・・・その際、エナがこの城をのっとり、フリートの兵と挟み撃
ちにしたら・・・
エナに疲れはなかった。
一時間後、もう500人以上斬っているがもう後はないのだ。
さすがにマントは破れ、暴れたので鎧は脱げ、みだらに裸に近い格好になっていたがいつもと違って恥ずかしさは
なかった。
だが彼女の真の目的はソーセージー兵全滅ではない。
暴れるだけ暴れまわったらいつかどこかで剣を落とし、降伏しないといけない。

ここまでだよ、ミント・・・

エナは馬を降り、目でミントと会話した。
思えばあまり人となじめなかった彼女の一番の友達はミントだったのかも知れない。
ブルルルゥ・・とためらっていたミントだったが分かってはいた。
数秒後、ミントは暴れソーセージー兵を蹴散らし城の外に消えていった。
徒歩になったエナは疲れもあり、素早い剣技で敵を圧倒したが
ついに彼女は剣をはじかれ無数の兵隊達に取り押さえられた。
(・・・・・ス、スオウ、楽しかったよ、さよなら・・)
1000人近くを切り伏せたエナはボロボロで、首輪をつけられ両手にも錠前をつけられ、立たされたがその姿は鋼鉄
のブラパットは取れ、かろうじて薄い綿のパンティーだけが彼女のプライドを守っている状態で、形の良い丸みのある
バストはあらわになっていた。



「こいっ!!」


引っ張られ、連れていかれる彼女だが、誰もが驚く程若く、華奢な美少女であの゛蛇女神゛だとは信じられなかった。
捕まった彼女ソーセージー国王の前に半裸のまま連れていかれ、エナは言う。

「・・・わ、私がいない以上、フリートの軍隊は弱小です。二度と戦争はおこせないでしょう。ただ・・」

エナは言う。

「ここの軍隊も超弱すぎます。」
「なんじゃと!?ぶっ無礼なっきさまなんの」
「待て!・・エナ殿の言う事もっともじゃ。皆も肝に銘じよ。たった1人に千人やられては・・犬の遠吠えにも劣るぞな」
「・・・・はっ!」
「・・・エナ殿。ソーセージーに使える気はないか?お主ならどんな待遇でも筆頭騎士でも思いのままの・・・」
「いりません。それより・・・」

天を向き、エナは国王に向かって言う。

「私を見せしめとして殺して下さい。その代わり・・」
「・・わかった。フリートを守れ、といいたいのじゃな。なんと、あっぱれな・・・!惜しいがここでお別れじゃの、エナ殿。
今日の剣舞、後々の語り草となりましょうぞ」

半裸のままエナは国王と別れ、処刑日までの7日間、エナは生き地獄をあじわった。


                                                                  
                                                                          

                          戦乙女・蘇芳エナ物語4に続く